続 北 海道日帰り温泉の旅


令 和7年6月28日
June28, 2025



開高健の小説「ロビンソンの末裔」
「フキの根を掘ってくえばいい」


終戦直前拓北農兵隊の募集パンフレットのうたい文句
に惹かれ妻子と東京を後にした主人公は上川町の原始
の高原に入植します。その時既存の農家で指導員の久
米田は「フキの根を掘って食えば良い。」と教えます。

フキ自体私たちが野菜として食べている茎、また葉に
も毒成分が含まれており、とくに根の部分はその含有
量が高いそうです。ただ水に溶けやすい性質で、根も
よく水にさらせば救荒食としての価値はあるのかと
調べてみることにしました。






見た目は白く新しい根の部分が良さそうです。





皮を剥いてみると指先に松脂がついたような感触が
あります。中身は木材そのもののような感じです。
噛んでみると、漢方として粉にしたものを摂取する
ときはとても苦いとの報告がありますが、単にフキ
の味が残るだけでした。





皮の部分も単なる木材の皮といった感じです。





明治以来の北海道開拓に参入した開拓者が凶作の年
何を食べたかはとても関心のあるところで、訪問した
地域の資料もそれなりに当たってきましたが、フキ、
ワラビ、コゴミ以外はほぼ目にすることがありませ
ん。湧別の古老談にオオウバユリの根を集めた話が
ありましたが、戦後はともかく珍しい事例でした。
一例だけドングリの実を集めたとの古老談は感動
ものでしたが、士別の水稲栽培に大きな足跡を残
している方でした。覚悟のほどと北海道の厳しい
自然条件も理解して開拓に挑んだ姿に心打たれた
ものです。
物語は「夏と冬と石ころだけの土があるきりです。
死にはしないが全く生きていません。」で終わりま
す。



開高健の 小説「ロビンソンの末裔」の舞台となっ た戦後開拓地を訪ねる


開 高健の小説「ロビンソンの末裔」の舞台となった戦後開拓地を探る