続北 海道日帰り温泉の旅


令 和7年5月22日
May22, 2025



びっくりするほど美味しいエゾニュウの塩蔵品
採取から塩蔵まで



セリ科シシウド属のエゾニュウは北海道の山野
にも普通にみられる草本ですが、道内では松前
にハレの日の料理の材料としてかすかに存在
が伝えられているほかは、食材としての利用は
聞いたことがありません。
アイヌ民族の食文化においてもエゾニュウが
重要な位置を占めた記録は見つかりません。
秋田では冬季の保存食としてエゾニュウの塩
蔵保存が現在も続けられており、高い評価を
受けてお り、それではと昨年試作をしたとこ
ろ周囲の人を驚かせる好評でしたのて、採取
から塩蔵までの段階を記すこととしました。
また。アイヌ民族の食文化はそもそもの食生活
が塩分を補給必須としない構成だったため食
塩の製造技術も発達せず、それによって塩蔵
の手段が取りにくく、乾燥保存に偏った事も考
えられます。北海道の山菜文化にもう一工夫
する余地が残されている可能性もあります。


エゾニュウは湿 潤な地を好む大型の植物で
す。旭川近郊5月21日の画像を次に紹介し
ています。





根本を見て、中心部の葉の開いていない一本
の茎が食用に適しているとのことですが、今
の時期ならどの部分でも食用不適はないとは
思います。昨年採取したものの中にも先人の
言いつけどおりに行っていない部分もあった
と思うのですが、不都合はありませんでした。
カッターナイフと軍手、長靴で十分です。








10分ほどで採取した量です。茎は中実で、見か
けよりずしりとした重量があります。断端から
乳汁様の液が僅かに垂れます。他のものに付
着し乾燥すると落とすのがなかなか大変にな
りますので予め大きめの袋を用意すると良い
でしょう。

この液はとても苦く少量を舐めても少なくと
も時間単位で口に残ります。体験済みですの
で皆様は試みないのが無難です。





皮をむき水にさらします。私は包丁を使いまし
たが、使い慣れた道具で良いでしょう。

真 ん中の断端が反り返っているものはセリ科
ハ ナウド属のオオハナウドです。こちらも食用
として道民に利用された歴史はないようです
が、アイヌ民族の重要な保存食料の歴史があ
り、乾燥保存して汁物料理に用いられたそう
です。今回は試験的にエゾニュウの塩蔵に数
本混入しました。
オオハナウドは嫌な匂いでもないけれど独特
の強い香りを発散するので、多くを混入する
のはためらわれ数本のみ混入させました。





食塩は不足すると変質の原因になるし、多く
ても塩出しの時間が長くなることもありませ
ん。少し大きめの袋を用意すると良いでしょ
う。






一昼夜塩漬けして重しをおくと大量の水分が
抜けます。





エ ゾニュウがしっとりとして折り曲げても折れ
な い状態になっています、








再びできるだけ空間を作らないよう気をつけ
ながの塩蔵です。





再びの塩蔵処理に入る際残しておいた水分を
ひたひたになるりぎりまで戻しあとは塩で上
部を密封し完了です。





上部はふたをするくらいの気持ちで塩をふり
塩蔵処理完了です。3月後には食用に適した
状態になるそうですが、私は新年を迎えてか
らのお楽しみとしています。
小さな容器ですが、この状態で風体込7.5キ
ロです。





この量で我が家だけでは到底食べきれない
だけの量があります。昨年は山菜愛好者や、
興味のある方々にお裾分けして、各家庭の
秘伝料理、我が家で確保できなかった山菜
などなどの返礼品?で一挙に食卓が賑いま
した。









利用にあたっては冷水で大丈夫です。24時間
三、四回水を取り替え塩抜きをすると下準備
完了です。昨年の最初の利用は恐る恐るフキ
との合わせ煮としましたが、試食者全員「もう
フキは要らない。」と言わしめました。塩蔵処
理前の激しい苦みは完全に消え去り、味わい
と歯ごたえは山菜の確かな質を保持していま
す。
その後は友人の持ち込んだわらびの塩漬け、
ウドの塩漬け等とともにも利用しましたが
食材としてそれらに敗けてしまわない実力
は保持し続けています。
秋田県人おすすめの天麩羅かまぼことの合わ
せ煮も実は半分疑いながら試したところ、さす
がエゾニュウ食先進地、とうなづきました。